マルクスの肖像写真

  • 2016.07.25 Monday
  • 13:15

JUGEMテーマ:美術館

東京の日差しも、力強くなって参りました。

ご無沙汰しております。トップミュージアムのブログ担当三井です。

さて、トップミュージアム(=東京都写真美術館)のリオープンまでいよいよ一ヶ月半と迫って参りました。

日頃そこまでとも思っていないのですが、いやいやどうして忙しい日々を過ごしているのだな、と就業時間を知らせるチャイム(元保育園だった仮事務所からの新習慣を恵比寿でも活用)を聞いて気づいてみたりしております。

さて、当館リニューアル・オープン最初の展覧会は「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展(PCの方はこちら)と「世界報道写真展2016」(PCの方はこちら)です。

今月の三井は、すこし日本写真開拓史展の準備をお休みして、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展のプチお手伝いをしております。といっても、中心的な杉本氏の作品に触れていったり、内容の構築にコミットしていくというコアな部分ではなく、帽章で展示される資料などのコンディションチェックをさせて戴いたりしております。

今回は、そのなかで初期写真を見つけてしまったので、こちらのブログでこっそりご紹介。

ジョン・メイヨール≪カール・マルクス≫、公益財団法人 小田原文化財団蔵、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展出品予定作品

筆者撮影

 

温黒調の画像は一見、鶏卵紙のように見えますが、支持体の紙に厚みがあって透明な乳剤層を感じさせ、角度を変えて見ると濃色部に銀鏡が見られますので、ゼラチン・シルバー・プリント紙の可能性が高いと思われます。

画像の下に「MAYALL'S PHOTOGRAPHIC STUDIO, 224, REGENT ST LONDON」とあり、ロンドンのスタジオで制作された写真であることが判ります。メイヨールという人物を調べると、ヴィクトリア朝の英国で最初に名刺判写真を製作販売したJohn Jabez Edwin Paisley Mayall (1813–1901) ということが判りました。メイヨールは1843年頃から写真の研究を始め、ダゲレオタイプの発明者であるダゲールの直弟子でロンドンで開業していたダゲレオタイピスト・アントニー・クロード(Antoine Claudet,  1797– 1867)に1846年から師事し、翌1847年に独立しています。1851年のロンドン万国博覧会ではクリスタルパレスを中心とした万博のマンモスプレート(一般的には18x22inchなので、457x508mmというまさに巨大プレート!!)のダゲレオタイプを作成したことでも知られています。1852年に上記のリージェントストリートに2店目を出店した広告が見られ、肖像写真に関しては、ヴィクトリア女王をはじめ、小説家のチャールズ・ディケンズや写真発明家であり師の師でもあるダゲールを撮影しています。そして、1854年にフランスで発明された名刺判写真を1860年にロンドンで初めて製作販売した人物。日本ではあまり知られていませんが、英国の写真史において、軽からざる人物です。

次に裏面に書かれた手書きには、「January 1883 Karl Marx」と見て取れます。そう、『共産党宣言』で知られる思想家であり、経済学者であり、革命家であるカール・マルクス( Karl Heinrich Marx, 1818-1883)その人です。そして、マルクスはこの年の3月14日に他界しますので、この写真はその3ヶ月前の肖像ということになります。かなり貴重な作例であることがお判りになるでしょう。

なお、先に触れた印画紙も、1883年であるなら、ゼラチン・シルバー・プリント紙と考えて問題なく、また、色調が鶏卵紙に似た温黒調であることも、焼き出し印画(画像が出るまで露光するプリント)のゼラチン・シルバー・プリント紙として考えると特徴が符合します。

ところで、この写真、とてもわかりやすくて良いのですが、冷静に考えると非常に不自然です。だって、表と裏を同時に見ることができるわけですから。最初に見たとき、「台紙を裂いてマットに入れたのか?!」と思いましたが、そんなことはありませんでした。

稚拙な画像で恐縮なのですが...。

ジョン・メイヨール≪カール・マルクス≫裏面、公益財団法人 小田原文化財団蔵、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展出品予定作品

筆者撮影

 

このように、額の裏面には本当の台紙の裏面が見えておりました。つまり、表にあった裏面はコピーだったのです。

そして、この額装方法は、杉本博司さんご自身の発案だそうです。オリジナルを大切にしつつ、情報をできるだけ開陳する。

とても勉強になりました。

 

ところで...杉本博司さんは現代の写真家で、その個展であるにも関わらず、なぜマイヨールによるマルクスの肖像写真が出品作品なのか? 気になります?

ふふふ、それは9月までの秘密。しばしご辛抱を。

いずれにせよ、初期写真ファンも期待を膨らませて戴ける展覧会であることだけは、請け合います。

もうちょっとだけ、待ってくださいね。

 

 

さてさて、今月のおいしいもの情報。

今回は、おうどんです。

トップミュージアムがある恵比寿ガーデンプレイス(PCの方はこちら)にあるお店、つまりご近所さんです。グラススクエアという棟にあるのですが、この棟は当館に先駆けて(?)リニューアルされ、お食事処も増えました。こちらのおうどんも、新しいお店のひとつです。

鶏天うどん(温)ということで、注文したので、てっきり汁が張られた深い丼に鶏天が盛られてくるのだろうと想像していたのですが、完全に裏切られました。温とはぶっかけのこと。徳利からかける汁はちゃんと暖かいので、まぁたしかに温。ちょっと濃いめのお汁ですので、塩分控えめをご希望多き昨今、自分で量が調整できるという配慮かも知れません。鶏天にはレモンと抹茶塩が付き、こちらもお好みでという嗜好。

気が利いています。

ちなみに、画面左の炊き込みご飯はお昼だけのサービス。もりもり食べたい方には、大盛りもお昼はサービスです。

ぜひ。

ではまた。

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< January 2017 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM