パノラマ写真

  • 2007.11.29 Thursday
  • 18:22
なんと、翌々日に更新するという快挙、躍進中の古写真ブログです。
さて、予告どおり、ちょっとまじめな古写真のお話をと思っていましたが、スティル|アライヴ展にも関わって、パノラマ写真のお話をしようと思います。
みなさまは、パノラマ写真というと、どのような写真を思い浮かべるでしょうか。そもそもパノラマとは全景あるいは展望を指す言葉(三省堂「大辞林 第二版」より)で、panoすべて+honorama眺めというラテン語を合成して作った造語です。手元にある1898年発行の“Encyclopaedic dictionary of Photography”には、一点からぐるっとまわして撮影する方法や、乾板のパノラマカメラの図などが掲載されています。ちなみに、これによるとパノラマカメラは1848年にフランスで作られたそうです(当然、このときの写真の技法はダゲレオタイプ!)。
つまり、写真発明初期からワイド・ヴューを求める欲求があり、これに導かれた写真たちがパノラマ写真だと、ザックリ言えばそうなるように思います。
ただ、なんというか、パノラマ写真というのはとても不思議なもののように思えてならないのです。
とくに、古写真で考えると特に不思議感が高まる。
最近、特に「古写真における撮影者と被写体と鑑賞者の関係」というのが気になっているのですが、少なくとも19世紀の日本で考えると、写真は基本的に「被写体」を見るものであって、「写真そのもの」を見るというのは極めて特殊だったように思うのです。そうやって、ちょっとカテゴリー分けをすると、「人物」「風俗」「景観」というのが被写体の三要素になるように思う。
人物写真は、肖像や集合写真を指します。
風俗写真は、その大半に人物か景観が併置しているものだけれど、制作意図としては人や場所よりも、もう少し抽象的な「風俗」というものを見せようとしているし、受け取る側も、誰が写っているのか?何処なのか?よりも、どんな服装か?何をしているか?どんな場所なのか?の方に視線が行く。
景観写真は、景色や情景を捉えたもので場所がどこか?が重要になる。
でも、どうもそれだけではないように思うものがあります。それが、下の写真。

内田九一《長崎パノラマ》明治4年
確かに、長崎の港やそこに浮かぶ船(お召艦「龍驤」)や製鉄所などが写っていて、この写真が持つ天皇の西国巡幸を記録するという性格は十分に満たすもの。でも、それにも増して、手前に和服の人物を配し、大きく松の木を中央にすえた構図(コンポジション)に眼が行かないでしょうか。
構図。
これは被写体ではないですよね。あくまで写真という創作物が持つ要素であって、構図を見るということは、写真そのものを見るということに他ならないと思うのです。景観写真の一部である「風景写真」は、「古写真=被写体を見るもの」という構図を覆すように思えてならなくなってきたのです。

しかし。
しかし、風景写真においてパノラマはというのはさらに複雑な構造になっているようにも思えます。
ここで、現代の作品を見てみましょう。


屋代敏博《回転回Live! 東北芸術工科大学》2007年

やはりこの写真も、やや中央をはずしたとんがり屋根の校舎から導かれる三角の構図が目立ちます。でも、画面中央右側を見ると、分かりにくいけれど、少し高い位置に赤い人物の存在が見えます。実はこの人物、屋代氏本人なのです。ちょっと高いところにおいて、特撮ヒーローぽい感じというか。
つまり、制作者自身が、全体を構図的に鑑賞するだけでなく、詳細に見据えることを前提にしていると思います。
つまり、下のような図式なのかなと考えました。

19世紀の写真において、景観を捉えた写真という枠組みを考えると、その中に風景写真という、構図を重視した被写体を見るだけではない写真の存在がある。
でも、これらに内在する写真の中で「パノラマ」という形式を使って制作を行った写真の場合、「被写体を見る」ということも「構図を見る」こともどちらもイーブンに可能な写真になる。

「古写真を構造的に概観できないだろうか?」
なんて蛮勇なことを考えていたら、こんなところにたどり着いた。・・・そんな感じです。

ちょっと、知恵熱が出てきそうな感じなので、今日はこのあたりで。


恒例の美味しいもの情報。
今日はふたたび恵比寿。当写真美術館は、恵比寿ガーデンプレイスの中にあります。勢い、僕たち職員はガーデンプレイスの中で昼食をとることが多いのです。(コンビニのお弁当で済ましてしまうことも少なくないのですが・・・)そこで今回は、地下の焼鳥屋さんの「むぎとろ定食」。
でも、智恵熱のせいか、写真がぶれてしまいアップできませんでした。
どうかご容赦を。
とってもボリュームもあり、美味しいです。こちらは「高菜わっぱ飯」や、もちろん「焼き鳥定食」、そして、いまの季節は「かきフライ定食」などもあって、バラエティも豊富でおすすめです。

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