JUGEMテーマ:美術館
みなさま、こんにちは。
Top Museumブログ担当の三井です。
さて、「東川町国際写真フェスティバル」(PCの方はこちら)に行って参りましたので、今回はそのご報告です。よくご存じの方もいらっしゃると思いますが、あるいは、「東川町の写真祭...?」という方もいらっしゃるかも知れません。
まずは、ベーシックなインフォメーションです。(PCの方はこちらもどうぞ)
地名をちゃんと書くと、「北海道上川郡東川町」。北海道のほぼ中心に位置し、JR旭川駅から南東に15?の位置に市役所を中心とした街区が広がっています(旭川空港からだと8?程度です)。1985年に「写真の町宣言」を行い、この年以来、国内外の写真家を表彰する東川賞の授与をはじめ、展覧会やワークショップ、ポートフォリオ・レビューなどをフォトフェスティバルとして毎年開催されており、今年は32回目にあたります。当館は総合開館20周年ですから、こちらのフェスティバルの方が遙かに先輩です。1994年からは高校の写真部やサークルを対象にして行われる大会「写真甲子園」(PCの方はこちら)も加わり、老若男女の写真愛好家に向けて、見る、撮る、指導を受ける、そして、競うといった広がりを見せています。
ちょうど、今年は「写真甲子園」を題材とした映画の制作も行われており、より一層活気づいていました。
授賞式では、もちろん町長自らご挨拶。そして、受賞者全員を表彰されていました。
受賞者と審査員らによる「第32回写真の町東川賞受賞作家作品展」(文化ギャラリー)のテープカットとプログラムの告知。
街頭にも受賞者の写真がバナーとして展示されていました。
赤煉瓦の倉庫や街中のギャラリーでの展示も行われていました。
7月31日は文化ギャラリー内で「受賞者フォーラム」というリレー形式の展示解説会が行われました。
受賞者のマイケル・ケンナ氏の展示室でのフォーラム風景。
この日、東川町は午後から荒天でした。激しい雷雨。とはいえ、普段なら、「帰るころに止むと良いな」なんて鷹揚に構えているようなものです。ところが...。
なんと停電。
雷の影響で設備が故障し、3時間にわたって1500戸に影響が出る規模だったそうです。カメラが補正しているので写真では、それほど暗く感じられませんが、実際はLEDの懐中電灯を使っている状態です。確実に50人を超える人々がフォーラムに参加していたのですが、誰ひとり取り乱すひともなく、エアコンも止まってしまうので素早く団扇を配ったり、トイレの予備排水をバケツで用意するなど、ボランティアスタッフの大活躍もあって、驚くほど滞りなくトークセッションが進みました。なんというか、登壇者はもちろんですが、聴衆として参加した方々が本当に協力的でアットホームな暖かさに感動した一幕でした。
まだ行かれたことがない方は、来年の夏、ぜひ訪れて戴きたい写真フェスティバルです。
さて、もちろん今回の美味しいもの情報は東川を中心に。
ちらし寿司です。
ごめんなさい、ふたを取り忘れてしまっていますが、左上は茶碗蒸しです。
あ、僕が甲殻類が苦手とお伝えしたのでスペシャルです。本当は海老も入ってくるはずですので、そちらをお好みの方もご心配なく。野菜の天ぷらは抹茶塩で戴きます。コストパフォーマンスも高く、立地も最高。そして、道の駅のスタッフによるグルメマップも充実していました。
ところで、旭川限定のJUN DOG(海老フライ入りのおにぎらずで、チキンカツやソーセージのタイプもあり)というのご存じでしょうか?なんというか、本当に海老フライをご飯(無農薬特別栽培米使用)で包んであるのです。同行した広報担当者が海老フライを食していましたが、ドスっと存在感のある絶妙な食べ物でした。
また、北海道にしかないコンビニエンスストアがあることは有名ですが、「カツゲン(正確にはソフトカツゲン)」という乳酸菌飲料も北海道限定で、大抵のコンビニにおいてあります。北海道限定の味がある飲み物やスナックは、少なくないですが、こちらは商品そのものが限定。北海道へは何度も足を運んでいるのですが、今回初めて知りました。懐かしめの味だけれど、甘すぎずお勧めです。お試しあれ。
ではまた。
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東京の日差しも、力強くなって参りました。
ご無沙汰しております。トップミュージアムのブログ担当三井です。
さて、トップミュージアム(=東京都写真美術館)のリオープンまでいよいよ一ヶ月半と迫って参りました。
日頃そこまでとも思っていないのですが、いやいやどうして忙しい日々を過ごしているのだな、と就業時間を知らせるチャイム(元保育園だった仮事務所からの新習慣を恵比寿でも活用)を聞いて気づいてみたりしております。
さて、当館リニューアル・オープン最初の展覧会は「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展(PCの方はこちら)と「世界報道写真展2016」(PCの方はこちら)です。
今月の三井は、すこし日本写真開拓史展の準備をお休みして、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展のプチお手伝いをしております。といっても、中心的な杉本氏の作品に触れていったり、内容の構築にコミットしていくというコアな部分ではなく、帽章で展示される資料などのコンディションチェックをさせて戴いたりしております。
今回は、そのなかで初期写真を見つけてしまったので、こちらのブログでこっそりご紹介。
ジョン・メイヨール≪カール・マルクス≫、公益財団法人 小田原文化財団蔵、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展出品予定作品
筆者撮影
温黒調の画像は一見、鶏卵紙のように見えますが、支持体の紙に厚みがあって透明な乳剤層を感じさせ、角度を変えて見ると濃色部に銀鏡が見られますので、ゼラチン・シルバー・プリント紙の可能性が高いと思われます。
画像の下に「MAYALL'S PHOTOGRAPHIC STUDIO, 224, REGENT ST LONDON」とあり、ロンドンのスタジオで制作された写真であることが判ります。メイヨールという人物を調べると、ヴィクトリア朝の英国で最初に名刺判写真を製作販売したJohn Jabez Edwin Paisley Mayall (1813–1901) ということが判りました。メイヨールは1843年頃から写真の研究を始め、ダゲレオタイプの発明者であるダゲールの直弟子でロンドンで開業していたダゲレオタイピスト・アントニー・クロード(Antoine Claudet, 1797– 1867)に1846年から師事し、翌1847年に独立しています。1851年のロンドン万国博覧会ではクリスタルパレスを中心とした万博のマンモスプレート(一般的には18x22inchなので、457x508mmというまさに巨大プレート!!)のダゲレオタイプを作成したことでも知られています。1852年に上記のリージェントストリートに2店目を出店した広告が見られ、肖像写真に関しては、ヴィクトリア女王をはじめ、小説家のチャールズ・ディケンズや写真発明家であり師の師でもあるダゲールを撮影しています。そして、1854年にフランスで発明された名刺判写真を1860年にロンドンで初めて製作販売した人物。日本ではあまり知られていませんが、英国の写真史において、軽からざる人物です。
次に裏面に書かれた手書きには、「January 1883 Karl Marx」と見て取れます。そう、『共産党宣言』で知られる思想家であり、経済学者であり、革命家であるカール・マルクス( Karl Heinrich Marx, 1818-1883)その人です。そして、マルクスはこの年の3月14日に他界しますので、この写真はその3ヶ月前の肖像ということになります。かなり貴重な作例であることがお判りになるでしょう。
なお、先に触れた印画紙も、1883年であるなら、ゼラチン・シルバー・プリント紙と考えて問題なく、また、色調が鶏卵紙に似た温黒調であることも、焼き出し印画(画像が出るまで露光するプリント)のゼラチン・シルバー・プリント紙として考えると特徴が符合します。
ところで、この写真、とてもわかりやすくて良いのですが、冷静に考えると非常に不自然です。だって、表と裏を同時に見ることができるわけですから。最初に見たとき、「台紙を裂いてマットに入れたのか?!」と思いましたが、そんなことはありませんでした。
稚拙な画像で恐縮なのですが...。
ジョン・メイヨール≪カール・マルクス≫裏面、公益財団法人 小田原文化財団蔵、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展出品予定作品
筆者撮影
このように、額の裏面には本当の台紙の裏面が見えておりました。つまり、表にあった裏面はコピーだったのです。
そして、この額装方法は、杉本博司さんご自身の発案だそうです。オリジナルを大切にしつつ、情報をできるだけ開陳する。
とても勉強になりました。
ところで...杉本博司さんは現代の写真家で、その個展であるにも関わらず、なぜマイヨールによるマルクスの肖像写真が出品作品なのか? 気になります?
ふふふ、それは9月までの秘密。しばしご辛抱を。
いずれにせよ、初期写真ファンも期待を膨らませて戴ける展覧会であることだけは、請け合います。
もうちょっとだけ、待ってくださいね。
さてさて、今月のおいしいもの情報。
今回は、おうどんです。
トップミュージアムがある恵比寿ガーデンプレイス(PCの方はこちら)にあるお店、つまりご近所さんです。グラススクエアという棟にあるのですが、この棟は当館に先駆けて(?)リニューアルされ、お食事処も増えました。こちらのおうどんも、新しいお店のひとつです。
鶏天うどん(温)ということで、注文したので、てっきり汁が張られた深い丼に鶏天が盛られてくるのだろうと想像していたのですが、完全に裏切られました。温とはぶっかけのこと。徳利からかける汁はちゃんと暖かいので、まぁたしかに温。ちょっと濃いめのお汁ですので、塩分控えめをご希望多き昨今、自分で量が調整できるという配慮かも知れません。鶏天にはレモンと抹茶塩が付き、こちらもお好みでという嗜好。
気が利いています。
ちなみに、画面左の炊き込みご飯はお昼だけのサービス。もりもり食べたい方には、大盛りもお昼はサービスです。
ぜひ。
ではまた。
]]>初日である昨日、67名の方にお聞き戴きました。
今回は、この内容を少しだけ書かせて戴きます。
「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」はシリーズ展で、今回が4回目。この企画は、「日本の初期写真に関するコレクションは、どこに何があるのだろう?」という素朴な疑問からスタートしました。この企画案を提出した00年代初頭、国立の博物館や、写真の収蔵が多いことで知られる美術館・博物館を除けば、初期写真の視点で収蔵品を調べることは難しかったのです。「それならば!」と本展を企画し、2年ごとに調査地域ごとに展示を行おうと考えたわけです。
そして、2006年度(2007年3月)に関東、2008年度(2009年3月)に中部・近畿・中国地方、2010年度(2011年3月)に四国・九州・沖縄、それぞれがスタートしたという次第です。今回は4回目、北海道・東北の地域で初期写真の所在調査を行い、これらによって見出された作品を展覧しております。
本展を含む4展示は、すべて「であい」「まなび」「ひろがり」の3部構成で展示を行っております。
であい 日本あるいは日本人と写真のファーストコンタクト
まなび 日本で活躍した写真師の第一世代による作例
ひろがり 第二世代以降の作例
明治30年代までの作例について、これらの視点から作品を展示しています。
なお、初期写真とは「近代的写真表現の洗礼を受けることなく、あるいは『表現』という自覚なく制作された写真」を指します。(こちらについては、拙稿「イメージとピースの間で いま初期写真を観つづけることについて」「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 北海道・東北編 研究報告書」に書かせて戴きましたので、ご興味のある方はぜひご覧下さい)
東京会場はあと一週間。
ラストスパートのゴールデンウィーク特別フロアレクチャーは、本日、5月3日、5月4日、5月5日、最終日の5月6日。すべて16:00〜約1時間程度です。
こちらについてもご参加戴ければと思います。
なお本展終了後は、北海道立函館美術館、鶴岡アートフォーラム、郡山市立美術館への巡回を予定しております。
さて、久しぶりのおいしいもの情報。
ガーデンプレイス内には、さまざまな飲食店が軒を連ねていますが、こちらはちょっと斜め上。デパ地下のイートインです。奇を衒ったチョイスのように思われるかも知れませんが、さにあらず。
どうですか? このボリュームとバラエティ!! 僕だって、ラーメンやハンバーガーだけではないのです。煮魚だって、大好きなのです。もちろん、お刺身だって大好物。
ガッツリ食べたいけれど、オイリーなのはちょっと…という時、ここはおすすめです。
では、また。